2015年07月19日

名優 緒方拳さん逝く

緒方拳さんの訃報が、突然(と感じられました)TVの上を流れました。
最近も著名な方が相次いでなくなられていますが、緒方さんと死、と
いうものが、これほど結びつかない人もないだろうなと感じていました
ので、実際は一度もお目にかかったこともないのに、何故か気持ちが
上ずってしまいました。

私が緒方さんをテレビの上で初めて見たのが、30年前、確かNHK
大河ドラマの『黄金の日々』であったと思います。緒方さんは太閤
秀吉を演じていました。市川染五郎さん(当時)演ずる、東シナ海を
股にかける貿易商、納屋助左エ門を気に入っていて、助左エ門が
大坂に戻って来ていると聞くと、「なんじゃ、戻っているのか。なぜ
それを早く言わん。」と回りの者に愚痴を言ってから、自らイソイソと
助左エ門に会いに出かけます。その歩き方がコメディアンの東八郎
さんみたいで、秀吉ってコメディアンだったっけ、と茶々を入れて
しまったくらいです。

しかし、それから朝鮮出兵を契機として助左エ門との仲が決裂して
しまい、助左エ門が自分の意に沿わぬと判ると、「目を抉り、鼻を
削ぎ、耳を裂いてしまえ!」と側近に命令します。その時の、悪鬼の
ような顔とギラギラした双眸はまさしく殺気立つという言葉が相応しく、
またそれ以前のヒョウキンさ、軽さを自在に使い分けられる緒方拳と
いう人ってすごいなと思いました。

緒方さんはそれ以降も、『復讐するは我に在り』や『鬼畜』という
作品で、ギラギラする刃物のような殺気を、テレビの画面をはみ
出すように放出していました。

最近は、お歳を召されたせいか(とは言っても、老人という感じは
全くありませんでしたが)印象も丸いものに変わって来ていたように
思ってました。でも、8年もの間、自分の病気を家族以外の人には
隠し通し、いま最後の作品を作り終えて、流星のように消えてしま
った緒方拳という人を思う時、役ではなく彼自身の「ギラギラ」は
決して失われていなかったのだな、と瞠目させられました。

いい役者でした。

合掌
タグ:緒方拳
posted by ジャパニスト at 08:03| エンターテインメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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