2010年11月24日

中国−危うい超大国

中国 − 危うい超大国

著者スーザン・L・シャーク博士は、ニクソン大統領やキッシンジャー特別
補佐官が中国と国交正常化を決意する以前に、中国へ留学してます。それも
高校生の時に。勇気あるなぁ。


多分中国語を、母国語のように話せるのでしょう。実際、何分の1かは、
中国を母国のように感じていることが、膨大な文章の端々にうかがえます。
ですから、中国が脅威だという本はあまたありますが、自身はアメリカ人で
ありながら身内のように、政治指導者や軍人、そして共産党の等身大の姿を
描き出しています。それが類書と決定的に違う点です。


中国の政治家が高圧的かつ傲慢に見えるのは、実際にそうである場合は少なく、
余りにも政権の正統性、維持、運営、生存に関して危機感を持っているため、
言い方を変えれば、自信がないためだと言います。自信がない時ほど、高圧的に
振る舞わざるを得ないのだと。

江沢民は自身が軍人出身ではなかったがために、人民解放軍のコントロールに
不安を抱えていました。そのため、将軍たちの要求は何でも呑みました。また、
人民に対する自身と共産党の求心力の維持のために、古臭い共産主義の代わり
に愛国心をばら撒きました。胡錦濤はその遺産に悩まされまくっています。


共産主義の優越性に自信のない彼らは、人民と軍人の愛国心と生活の向上と
いう圧力に押される続け、もはや支えきれなくなっています。圧力に沿って
政策を決定するしかないのです。


スーザン博士が心配するのは、共産党が存在していたければ、行き先は自動的
に台湾侵攻に向かわざるを得ない、ということです。太平洋戦争中の日本の
軍部と同じで、負けたとは誰も言い出せません。言えば身が危ないからです。
それと同じで、誰も人民の愛国心と軍人の闘争心に反したことは言えません。
言えば自信の失脚と、共産党の失墜が待っているからです。それだけに、
選択肢は狭まります。打つ手が限られるのです。もっと言えば、打つ手がない
のです。


スーザン博士は、何度も強調します。共産党や共産党指導部が高圧的で、強硬
な言論を吐けば吐くほど、共産党は弱体化しているのだと。今は、愛国心と
経済成長の綱渡りをしていますが、そのバランスが崩れた時(バブル崩壊に
よって、もうすぐ崩れそうですが)、共産党を存続させるため人心をまとめる
唯一の方法は戦争しかありません。台湾開放という党是です。でなければ、
共産党の解体です。しかし、共産党が倒れると、中国全土で大乱が始まると
思われます。清朝末期みたいな、軍閥支配に戻るのでしょうか。


どちらにしてもスケールがでかいだけに、アメリカの金融危機以上の危機が
やってくると予想されます。どんな形になるかは、想像もできません。単純な
中国擁護や、非難の応酬ではやっていけなくなるのは眼に見えています。
右手で握手しながら左手でパンチを繰り出すような、能力と覚悟が必要だと
思うのですが、日本人には最も苦手なことです。その苦手なことをやらなけ
れば、こっちの国が危うくなるのです。


日本の為政者、政治家、国民に、この本を絶対読んでほしいです。


それ以外のお薦め:

そうだったのか! 中国 (集英社文庫)
私はなぜ「中国」を捨てたのか (WAC BUNKO)
チャイナクライシスへの警鐘 2012年 中国経済は減速する
中国の経済専門家たちが語るほんとうに危ない!中国経済
2013年、中国で軍事クーデターが起こる

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posted by ジャパニスト at 03:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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